DURFORT-VIVENS来日

シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン来日

株式会社モトックスの秋の大試飲会に合わせて、フランス、ボルドーメドック格付けの2級に格付けされているマルゴーの名門、シャトー・デュルフォール・ヴィヴァンのジェローム・エランヴァル氏が来日した。
氏の名刺には「ディレクター・ワインメーカー」と記されているが、実質は総支配人の位置づけである。醸造畑一筋で、サン・テミリオンの雄、シュヴァル・ブランにも2年籍を置いた。

 18世紀から続く名門ワイナリー(1855年のメドック格付けで2級の評価を得ているのだから!)でありながらその後は長らくの低迷。
1937年にはシャトー・マルゴーに買収され、所有する畑のブドウはシャトー・マルゴーやそのセカンドワイン、パヴィヨン・ルージュ・ド・シャトー・マルゴーなどの原料となっていた。
 長く暗いトンネルを抜け出したのは1992年にゴンザック・リュリュトン氏がオーナーとなってからだ。1995年にようやく自社のシャトー元詰めワインのリリースを再開した。
 ちなみにゴンザック氏の妻は、メドック格付け3級シャトー・フェリエール(マルゴー)、同5級のオー・バージュ・リベラル(ポイヤック)などを所有するクレラ・ヴィラエール女史である。(現在ジェローム氏はこちらの畑も監修している)

 2009年、ゴンザック氏とジェローム氏が自社の畑の30%をビオディナミに転換したのを手始めに、2012年には55haの自社畑すべてがビオディナミに転換された。翌2013年にはEUビオディナミ認証機関「デメテール」に申請し、2016年のヴィンテージから正式にエチケットに表記される。
 ビオディナミは周知の通り時間とお金がかかる。加えてボルドーの気候は雨が多く湿度か高いためベト病のリスクを伴うのだが、細心の注意を払い、人員も増やして徹底的に畑の管理を行った。結果、果実のトーンが明るくなりピュアな果実味が出せるようになったという。また、メルローのテイストが前面で感じるのに対しアフターで感じるカベルネ・ソーヴィニョンはミネラルの伸びが抜群によくなったともいう。ほかのメドックのシャトーに比べ、カベルネ・ソーヴィニョンの比率が高い(約90%)このシャトーにとってビオディナミは極めて良策であったようである。
 現行ヴィンテージは2014年だが、ビオディナミに完全転換してからは初めてのグレートヴィンテージ2015年が来年リリースされる。今からとても楽しみである。

*会場で通訳・詳細な説明をしていただいたモトックスの今井順子さん、大変ありがとうございました!
(2017年9月7日取材 於:第一ホテル東京
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