ヴァルター・ローヴェル(LoverBeer/ビール/イタリア)

Varter Lover
 
LoverBeer、英語のLover(ラヴァー)の意味ではなく、当主であるヴァルターの名字‘Loverier’からきていて「ローヴェルビア」と読む。
ブルワリーはイタリア北西部に位置するピエモンテ州の州都、トリノにある。
来日する際の飛行機の中で50歳の誕生日を迎えたヴァルターとその妻エレナの2人で切り盛りしている。
2人ともこの地の出身。イタリア大手のIT企業で働いているときに出会い2003年に結婚。エレナは会社を辞めヴァルターは会社に残ったが、この後エレナが彼の誕生日に贈ったビールの自家醸造用キッドがきっかけで人生が大きく変わることになる。
(ちなみに「グラスのビール1mmが致死量」と笑うエレナは花粉や猫など、あらゆるアレルギー持ち。その薬の作用の関係でアルコールが1滴も飲めない。)
それまでビールにはまったく興味がなかったヴァルターだが、このプレゼントを機にまんまとビールにハマり、インターネットやあらゆる文献を漁りまくった。近隣のヨーロッパ、アメリカにも足を運んだが、特に影響を受けたのはベルギーだった。
そして彼は決めた。
生まれ育ったバローロバルバレスコなどの名ワインを生み土着の野菜やフルーツにあふれるピエモンテという土地に、そしてベルギーにリスペクトしたビールを造ろうと。
 
例えばBeerBrugnaはブレット酵母と乳酸で発酵させたベルギーのランビックスタイル。一次発酵が終わったこのランビックに地元産のラマシン(ルーツはシリア)というプルーンを浸けこんで二次発酵が行われ、フレッシュな酸味が心地よいこの地ならではのフルーツランビックに仕上げた。
Dama Brun-aはフレミッシュ・エール。ワイン用の大きなオーク樽で発酵させた後、地元のワイナリーで使っていた赤ワイン樽で16ヶ月の熟成中に乳酸菌を入れて再び発酵させる。
そのほかにもアーティチョークの一種だがこの地方でしか食べられていないというカルドンという野菜や、スミレの花を使ったセゾンなどベルギーのスタイルと地元で取れる原料を見事に融合させている。
「常に‘足りないものは何か’を探しながらビール造りをしているんだ。それが結果的に地元産の野菜を使うことだったりワインにリスペクトすることだったりする。同じものを年がら年中造るのではなく、ワインが秋にしか仕込めないように、その季節にしか造れないビールをこれからも追求していきたいね」
2009年に9種類のビールからスタートしたLoverbeer。現在は15種類のビールがリリースされている。ヴァルターの‘足りないもの’探しはまだまだ続きそうだ。
(2016年5月来日)
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