Boxing Cat(中国・上海)ビール

BOXING CAT BREWERY(中国・上海)のブルーマスターが来日

 

 今年3月、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(以下ABI)の傘下となった上海に拠点を置くマイクロブルワリー「BOXING CATBREWERY」のブルーマスター、マイケル・ジョーダン氏とセールスディレクターのティム・ベランジャー氏が来日した。

 ジョーダン氏はアメリカ・ワシントン州の出身。ポートランド大学で薬学を学んだが、クラフトビールの聖地ともいわれるポートランドに暮らすうち、俄然ビールに興味がわいた。大学卒業後の1995年以来、職歴はすべてブルワリー勤務である。アメリカ国内のマイクロブルワリーを点々とした後、2008年から2年間デンマークFuglsangブルワリーに在籍、インターネットの求人広告でBOXING CATを見つけ2010年から現職となった。横浜で行われているインターナショナル・ビア・カップでは毎年ジャッジを務め、また、ベアードブルーイングの代表であるブライアン・ベアード氏とはポートランドのウィッドマー・ブラザースで一緒に働いた経験もあり日本とも縁がある。

 ブルワリーの、文字通り‘ボクシングしている猫’というネーミングは、前代のブルーマスターが飼っていた猫が時折ビールを飲み、酔っぱらっているときの動きがまるでボクシングをしている様だったからだそうだが、中国では昔から大事にされてきた猫をモチーフに、まだ発展途上である中国のクラフトビール文化と戦っていくぞという意味も込められている。

 ブルワリーは現在上海に2カ所(うち1つはブルーパブ)と武漢にあるABIの所有する施設で年間10.000~12.000hlを生産している(日本で大手のヤッホーブルーイングの1/3程度)。いずれはABI傘下のハルビンビールを製造しているハルビン市のブルワリーでも生産するというから生産量はさらに増える見込みだ。現在の輸出先は香港のみだが今後は台湾、タイ、韓国などのアジア諸国にも販路を広げていきたい意向だ。

 ABIの傘下となったことについては、「我々の持つハイクオリティなビールとブランド力とがABIとタッグを組むことで、まだまだ発展途上である中国のクラフトビール市場を活性化させていきたい」といい、同席していたABIの福浦まり恵氏は「広い中国のローカルな部分まではまだまだカバーできていない。また、ブルワリーの建設や拡張など中国政府の規制も厳しい。なにより中国国内にクラフトビールというポートフォリオを増やすにはこのパートナーシップ必要だった」と話す。

  今回はライトフックへレス(ラガー)、リングサイドレッド(アンバーラガー)、コンテンダーペールエールペールエール)、TKO IPA(インディアペールエール)の4種類のビールが初披露された。Ratebeerアメリカ最大のビール評価サイト)では常に高得点、オーストラリアやヨーロッパのビアコンペでもメダルの常連(リングサイドレッドはビアコンペの最高峰、ワールドビアカップで銀賞)など、華々しい軌跡を辿っているが、日本に正式に輸入されるかどうかはまだ決定していない。今回提供されたビールを飲んだ客の反応次第、とのことである。

(2017年9月14日取材 於:馬車道タップルーム
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ブルーマスターのマイケル(右)とセールスマネージャーのティム(左)